研究テーマ

1.水環境における病原性微生物のフィールド調査とラボ研究【環境衛生工学分野】

 名水の大腸菌汚染、温泉のレジオネラ菌汚染、大淀川のコイヘルペス、カキによるウイルス性下痢などにも見られるように、一見、清浄・健全と判断されがちな水環境においても、衛生学的には高いリスクに遭遇している可能性を否定できない。そこで、真に安心して生活できる地域都市の構築をめざし、水環境フィールドにおける水質や細菌などの調査による正確なデータ・情報の収集と解析、ならびに調査結果に基づく保全・改善対策の研究を進めている。

《挑戦・解決したいこと》
○質的に安全・安心な水環境を創りたい・守りたい!
 ★水質に関する正確なテータを継続的にモニタリングして安全チェック!
 ★得られたテータ・情報・知見はいち早く公表して市民を安心させる!
○透明な水でも危険がいっぱい?
 ★病原性細菌はどこから来て、どこへ行くのか?
 ★見えないウイルスを見つけ出せ!
 ★みやざきの河川・湖沼・海岸は衛生的に大丈夫か?
○薬で死なない細菌(薬剤耐性菌)が身の回りに?
 ★河川や沿岸には薬剤耐性菌はいないのか?
 ★薬剤耐性菌の拡散ルート:産業動物~野生動物~水環境に・・・?

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2.森林?河川?海に至る流域の水質保全・修復技術(森?川?海のつながり)
【環境保全工学・環境生態工学分野】

 森林~河川~海に至る流域において、水質工学や環境化学に関する調査分析をベースとして、それらの情報、知見をもとに流域全体の水質保全・修復技術を開発する。現在の課題は、ダム通砂運用に伴う土砂移動の追跡、ダム貯水池の物質循環に及ぼす影響、海岸の衛生環境の向上などである。

《挑戦・解決したいこと》
○安心・安全な砂浜海岸を保全する!
 ★河岸の植物が海岸漂着物の主要な原因? 病原細菌の汚染源に?
 ★海水浴場の公衆衛生上の管理には、“水質”に加えて“砂質”も必要だ!
○森林を源流とする渓流からも薬剤耐性病原細菌が検出されている!
 ★実態解明が第一ステップ、その次に汚染源ルートの解明




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3.気泡を利用した病原微生物・微量化学物質の超効率的な濃縮・検出・定量法の開発【水処理工学・水質工学分野】

 タンパク質を利用した泡沫分離法による懸濁物除去に関する研究に着手し、凝集と泡沫分離のプロセスを組み合わせることによって、汚濁排水の高効率かつ高速度の処理技術を開発した。本法は、淡水や海水を問わず、短時間に極めて効率的に懸濁物・微細粒子を泡沫に分離できる。そこで、水処理から視点を変えて、水サンプルから微細粒子とも見なせる病原微生物やターゲット遺伝子を超効率的に泡沫に濃縮・回収し、その泡沫を遺伝子学的手法で解析する検出・定量法を開発している。ウイルス・細菌・原虫まで適用できることが確認されている。現在、病原遺伝子や薬剤耐性遺伝子の超効率的な濃縮・検出法を開発中である。さらに、下水や河川水からの抗菌薬の検出法にも着手している。泡マニアとして、まだまだやりたいことが浮かんできている。

《挑戦・解決したいこと》
○宮大オリジナルの泡沫濃縮法(泡沫分離法から転換)を世界中に知らしめたい!
 ★泡で濃縮できる物質・微生物ってなんだ?
 ★自然界で発生している泡の発生メカニズムとその機能を知りたい!
○泡で細菌・ウイルス・原虫を濃縮回収し、解析する!
 ★簡易・高速・高感度の病原性微生物検出法を開発したい!
 ★見えないウイルスを泡で取り除け!泡の中から見つけ出せ!
 ★最強の病原性原虫クリプトスポリジウムも泡で取り除け!泡の中から見つけ出せ!見つけ出せ!
泡沫分離法の除去機構図
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4.バラスト凝集沈殿を利用した超高速固液分離プロセスの開発

 固液分離すなわち懸濁物の原水からの除去は、水処理工学の根幹を成す技術であり、可能な限り早く、しかも簡便な技術の開発を目指して発展している。そこで、処理剤として無機の“微細砂(マイクロサンド)”を利用することで、マイクロサンドの自重によるフロックの沈降速度の高速化が可能なバラスト凝集沈殿に着目する。従来のアルミニウム凝集剤を使わずに、天然海水に含まれるグネシウムイオンの利用にも挑戦する。

《挑戦・解決したいこと》
○従来の凝集沈殿法の10倍の処理速度を達成したい!
 ★浄水場の沈殿池の面積が1/10に?!
 ★もうワンラックアップした固液分離技術の創出・提案
○自然に優しい超高速固液分離技術を開発する!
 ★海水淡水化の前処理にカルシウム・マグネシウムを高速で除去する!
 ★生物処理プロセスを要しない新規の超高速・簡易下水処理システムを提案!

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5.地域社会や水環境関連企業への協力・貢献研究

 地域社会において,水に関連する問題が少なくない。地域社会では,緊急的あるいは継続的に水質をすることが困難な場合も多い。また,水環境に関わる企業も未開末のままの課題を抱えていると聞く。我々の研究室は小さいながらも,逆に,臨機応変に調査研究に対応でき,メンバーで協力すれば,長期的スパンでのモニタリングも可能である。また,企業ではなかなか追跡できない詳細な実験やデータの蓄積・提供も我々のメンバーならできる。

○都城盆地地下水の硝酸性窒素モニタリング
 都城盆地地域は、地下水が水道水源や産業活動に利用され、豊富で良好な水資源として地域住民と密接に関わりあっている。しかし,一部の地域で地下水の硝酸態窒素濃度が水道水質の上限値である10mg/Lを超え,当該地域の様々な生産活動に伴う水質汚染が懸念されているため,地域的に地下水の硝酸態窒素濃度分布及びその原因を検討し,関係行政と一体となった保全対策を調査・研究する。

一ツ葉海岸